系譜目利き

毎年、村が現れる。そして毎年、ひとりの少女が生贄として幽閉される。追って突入する特殊部隊は3人。あなたはその4人を同時に操作している。そして油断するたび、1人ずつ失う

ストアページは状況を4行で並べて、そこで止まる。毎年出現する「廃村」と呼ばれる奇妙な無人村がある。そこには必ず1人の少女が生贄として幽閉される。廃村に突入する特殊部隊が3人いる。あなたはその4人を操作する。設計はそれで全部で、しかも字面より奇妙だ——突入する3人と、既に監禁されている1人は、戦術的な使い分けのために切り替える部隊ではない。同時に生かしておく責任を、こちらが個人的に負っている4人である。その帰結もストアははっきり書いている。「油断するたびに1人また1人と怪異の犠牲になる」。村は一周ごとにランダムに作られ、全体で15分。ゲームが問うのは、その窓の中で脱出できるか、できないか、それだけだ。グラフィックは意図的にクラシック3D風で、そのぶん動作が軽い。公式の英題は存在しない。Steamのname欄自体が日本語のままで、Steamが自動生成した正準URLはただ「123」とだけ言っている。制作は727 Not Hound——Steamに16本を並べる多作な日本のソロホラー開発者で、その16本すべてを個別に確認したところ、全件で開発元と発売元が同一だった。ここは誤魔化さずに書いておくべき点がある。本作にはSwitch版が2021年に告知された経緯があり、開発者本人も当時「パブリッシャーからお声がかかり」と述べていた。だから当サイトで確認した。Nintendo日本の公式カタログを10通りの検索語で当たっても、この開発者名義のタイトルは1件も出てこない。同じ検索がマリオでは221件、ホラーでは90件を返すので、検索は動いていて、この不在は本物である。そして開発者は2023年に「シーズン1終了」と区切りをつけた。コンソール版は出荷されず、publisherとの関係が製品として世に出たことは一度もない。なお当サイトがこの開発者を取り上げるのは今回が初めてではなく、そこも取り繕わずに書いておく。発売日は2022年7月25日、価格¥800。27件のレビュー(好評25件・不評2件)で好評率92%。無料ではない有料タイトルで、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、AI生成コンテンツの開示欄は無く、Steamのコンテンツディスクリプタは完全に空である。原型は日本のフリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」で無料公開されたものだ。対応言語は日本語のみで、27件のレビューのうち英語はちょうど2件。27件で92%は当サイトの他の発掘より母数も数字も薄く、1周は15分である。どちらも埋めずにここに書いておく。

公開 2026-08-01

01まず、その一点の感覚

02こういう人に刺さる

刺さる

  • The Lost Vikings をホラーの前提に置き換えたものが欲しい人——複数の身体、1人のプレイヤー、そして「1人ずつ持っていかれる」と先に宣言してくる設計
  • 長さより短さと反復が欲しい人——1周15分、毎回新しく生成される村、そして軽く動くように選ばれたクラシック3D風の絵
  • 内容の記録がきれいで自主出版の日本の開発者が欲しい人——コンテンツディスクリプタは完全に空、AI開示も無し、Steamの16本すべてが開発元と発売元に同じ名前を載せている

合わない

  • 日本語が読めない人。英語オプションも公式英題も存在せず、27件のレビューのうち英語はわずか2件である
  • 安定した数字とボリュームが欲しい人——27件で92%は当サイトの他の発掘より母数も数字も薄く、1周は15分で終わる

03系譜:この味の原点

92% が好評レビューはわずか 27 件英語にまだ非対応 — なのに、ほとんど誰も見つけていない

国際指定怪異123号 廃村 埋もれた名作

ストアページは状況を4行で並べて、そこで止まる。毎年出現する「廃村」と呼ばれる奇妙な無人村がある。そこには必ず1人の少女が生贄として幽閉される。廃村に突入する特殊部隊が3人いる。あなたはその4人を操作する。設計はそれで全部で、しかも字面より奇妙だ——突入する3人と、既に監禁されている1人は、戦術的な使い分けのために切り替える部隊ではない。同時に生かしておく責任を、こちらが個人的に負っている4人である。その帰結もストアははっきり書いている。「油断するたびに1人また1人と怪異の犠牲になる」。村は一周ごとにランダムに作られ、全体で15分。ゲームが問うのは、その窓の中で脱出できるか、できないか、それだけだ。グラフィックは意図的にクラシック3D風で、そのぶん動作が軽い。公式の英題は存在しない。Steamのname欄自体が日本語のままで、Steamが自動生成した正準URLはただ「123」とだけ言っている。制作は727 Not Hound——Steamに16本を並べる多作な日本のソロホラー開発者で、その16本すべてを個別に確認したところ、全件で開発元と発売元が同一だった。本作にはSwitch版が2021年に告知された経緯があり、開発者本人も「パブリッシャーからお声がかかり」と述べている。しかしNintendo日本の公式カタログを10通りの検索語で当たっても、この名義のタイトルは1件も存在しない。そして開発者は2023年に「シーズン1終了」と区切りをつけている。コンソール版は出荷されなかった。なお当サイトがこの開発者を取り上げるのは今回が初めてではなく、そこも隠さず書いておく。発売日は2022年7月25日、価格¥800。27件のレビュー(好評25件・不評2件、Steam自身のレビューAPI実測)で好評率92%。無料ではない有料タイトルで、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、AI生成コンテンツの開示欄は無く、Steamのコンテンツディスクリプタは完全に空である。原型は日本のフリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」で無料公開されたものだ。対応言語は日本語のみで、27件のレビューのうち英語はちょうど2件である。

あなたの手で、最初の合格を

バイキングの大迷惑 (The Lost Vikings) 批評的な木霊

この味の原点——The Lost Vikings(バイキングの大迷惑)。1993年4月29日発売、開発は後にBlizzard Entertainmentとなるスタジオ、発売はInterplay。この作品の発明は、1人のプレイヤーに3つの身体を同時に持たせたことだった。エリックは走って跳び、バレオグは戦い、オーラフは盾を構える。誰ひとり単独でステージを終えられず、誰ひとり置いていけない。だからパズルの本体はキャラクターの技能ではなく、「こちらの注意力は分割できるが、彼らの安全は分割できない」という事実のほうにある。自分が主人公なのではなく、複数の主人公に対して同時に責任を負う人間になる——そういうゲーム群の系譜の原点である。『国際指定怪異123号 廃村』は公式のLost Vikings作品ではなく、この系譜は明言された影響ではなく当サイト独自の批評的比較である。両者が分かれる点は、名指ししておく価値がある。バイキングたちが互いを必要とするのは能力が違うからで、あのゲームはプレイヤーが賢くありさえすれば3人とも通れると確信している。こちらの4人が互いを必要とするのは彼らが人間だからで、能力はほとんど変わらず、そして設計のほうが最初から「1人ずつ削られていく」と宣言している。

04あなたの手で、この原石を輝かせる

気になったら Steam で確かめて、最初の合格をあげてほしい。あなたの一押しが、埋もれた原石を輝かせる。

Steam で見る

05この味の血統