原石
系譜の原点

SCP財団:その系譜と、子孫と、日本での評価

01この原点とは

SCP財団は、2007年に始まった web ベースの共同創作(collaborative fiction)プロジェクトで、匿名の書き手たちが、架空の異常な存在・物体・現象を、それらを「確保(Secure)・収容(Contain)・保護(Protect)」する秘密機関の機密報告書という体裁で記録していく。特定の作者を持たず固定された正典も持たないまま、感情を排した報告書・収容手順の無機質な文体で書かれ、「異常を官僚的に記録する」営みと、「説明のつかない何かと密室に閉じ込められる」恐怖を、共有された現代の神話へと変えた。閉ざされた施設・密室の中で、文書を通して実存的な恐怖を立ち上げる anomalous horror(異常存在ホラー)の系譜の原点であり、怪談系や繰り返し惨劇系のホラーとは別物の一枝である。

02出典

03この原点を継ぐ発掘

氷点下30度の絶望 埋もれた名作

成人男性2人が業務用の冷凍庫(ウォークイン・フリーザー)に閉じ込められる、無料の日本産・心理ホラーノベルゲーム。生存エンドは無い。冷えが進むにつれ、ゲームは低体温症の実際の進行——幻覚、そして「矛盾脱衣」(被害者が燃えるように熱く感じて服を脱ぎ捨てる、低体温症末期の実在する症状)、苦痛——を辿りながら、埋もれた「真相」と4つの死のいずれかへと向かわせる。1周は約15〜20分、操作はマウスのみ、PSX風(ローポリのレトロ3DCG)のビジュアルで描かれる。選択肢は特別な会話を開き、確率で発火するランダムイベントが各周回に小さな差を生むので、スキップ機能込みで全エンディング回収は概ね30分〜2時間。日本の個人同人開発者 みつどもえ工房 による一本で、2025年11月発売。BOOTH・note・novelgame・PLiCy など日本の同人/フリーゲームのプラットフォームで配布され、Steam版の対応言語は日本語のみ。作者は、中学時代に触れた SCP財団 を本作の影響源として挙げている。353レビュー97%で非常に好評なのに、英語レビューは約16件(約4.5%)しかなく、広い西側はこの無料の同人ホラーをまだほとんど見つけていない。

悪夢のような日々でした 埋もれた名作

Steam自身の表記によれば、本作は小さな部屋で行う論理ゲームだ。ここに暮らすヒトのうち、心臓を「ルビウク」という寄生虫に侵されているのは誰なのか——それを突き止めるのがあなたの仕事になる。専門知識は必要ない、配置して電力を送るだけだ、とセンサーを手渡され、あとはその表示を読む。ストア文言はこれらすべてを、朗らかな業務案内の声で伝えてくる。センサーの電波で気分が悪くなったり幻覚を見る人がいる件についてさえ、こう続く——「健康上、問題はないんですよ。仕事には我慢しなきゃいけないことってあるでしょう?どうしてもね」。必要のないルビウクの変異種も紛れ込んでおりセンサーに反応してしまうため、新しい変種が現れるほど推論は混乱していく。レベルはDAY1からDAY7まであり、DAY4まではチュートリアルに近く、DAY7はカスタムして遊べる特殊モードだ。思考自体はゆっくり行えるが、「ナイトメア」の襲撃に耐える際には多少のアクションが要る。タイトルそのものは壁の落書きから来ており、案内役はそれを読めるあなたに驚いたうえで、いたずらで暇つぶしに書いたものでしょう、意味はない、と流してみせる。制作・自社発売はソロ開発者の727 Not Hound。AUTOMATON(日本語版)は「本作を開発しているのは、国内の個人ゲーム開発者である座間氏だ。727 NOT HOUNDは、同氏の名義となる。」と明記しており、当サイトの記事としては珍しく、状況証拠ではなく第三者メディアによる国籍の直接明言が取れている。同開発者は2019年から2025年にかけて10本前後を送り出しており、Switch版を含め、そのすべてが外部発売元を介さない自社発売だ。発売日は2023年12月31日、価格¥600。29件のレビュー(好評29件・不評0件、Steam自身のレビューAPI実測)で好評率100%の「好評」。無料ではない有料タイトルで、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、AI生成コンテンツの開示は一切なくMature Contentの注意書き自体が存在せず、Steam自身のコンテンツディスクリプタ上も性的な要素はない。日本語に加えて英語にも対応しているにもかかわらず、発売から2年以上経った今も29件のうち英語レビューはわずか2件、日本語は18件だ。Siliconera・Kotaku・PC Gamer・AUTOMATON WEST・Destructoid・GameSpot・Game Developerを個別に確認したが、編集記事は一件も見つからなかった。

アライさんマンション探索ゲーム~Incarnation~ 埋もれた名作

Steamのストアページによれば、『アライさんマンション探索ゲーム~Incarnation~』は、エレベーターで多階層の異常なマンションを探索していくコマンド式のテキストADVだ。プレイヤーは専門の調査組織の職員で、異常を外の世界へ漏らさないこと、そして謎を収容する方法を見つけることが仕事になる。集めた「行動」と「仲間」のカード、そして自分の「スキル」を持って探索する。緊迫したカードバトルが主軸で、中心にあるのは、進むか退くかの判断だ。本作は二次創作をもとにした作品で、けものフレンズを原作とし、あぶぶ氏の二次創作『アライさんマンション』をもとにしていると、Steamの日本語の説明と開発者のnoteの両方に書いてある。開発者はnoteで、けものフレンズの二次創作ガイドラインと、あぶぶ氏が2020年2月に投稿した「どんどん描いてくれて問題無いのだ」を引いている。Steamの開発元も発売元もA.C.3で、作り手はユウワン。日本開発は、日本語の個人サイトnightbug.net、ストアページ公開を本人が書いたnote、ユウワンを開発元として報じたgamebizの告知で確かめた。国籍を直接示す記述は見つかっていないが、確度は高い。同じサイトは、ふりーむ!にある先行の『アライさんマンション探索ゲーム』へリンクしている。開発者のnoteによれば、Steam版は、本作の前身でふりーむ!で配布中のコマンドプロンプト版を、グラフィカルにリメイクしたものだ。Steam版は2026年5月23日の発売で、無料(基本無料のジャンル・早期アクセスではない。有料の要素の有無は確かめていない)。対応言語は日本語・韓国語・簡体字中国語・繁体字中国語・英語・ロシア語。Steamでは114件中109件が好評で、好評率約96%の「非常に好評」。言語別では日本語52件・韓国語32件・繁体字9件・簡体字8件・英語5件・その他8件で、日本語が最大だが、韓国語が明確な2番手にいる。Steamの内容の区分のIDは空。SteamのAI開示は3点ある。一部の背景とキャラクターでないカードの絵のもとになる画像を生成AIで作り開発者が手で直したこと、翻訳は主に機械翻訳であること、探索の雰囲気の文をAIで生成する任意の機能があること(プレイヤー自身がAPIの接続先を用意した時だけ動き、本編には影響しない)。開発者のnoteでは、400枚以上の背景画像がAI製と書いている。日本ではgamebizがストアページ公開の告知を載せたが、英語の編集記事は見つからず(網羅した検索ではない)、英語のレビューも5件で、西のプレイヤーにはほとんど届いていない。

家系図の全体を見る