無限回廊 (Echochrome):その系譜と、子孫と、日本での評価
01この原点とは
Echochrome(無限回廊)は、2008年3月19日にPlayStation 3とPSP向けに発売され、開発はJapan Studio、発売はソニー・インタラクティブエンタテインメントによる作品で、たった一つの譲歩の上に世界を築いた——「見えているもの」は「そこにあるもの」に優先する。画面上で分断された二本の通路が繋がって見えるまで視点を回せば、それは実際に繋がる。ゲームの側が、背後の幾何ではなく平面に潰れた投影のほうを、この件の真実として扱うと合意しているからだ。エッシャー的な不可能図形から借りた見た目に導かれるようにして、この作品はカメラを「パズルを観察するためのレンズ」という役から引きずり出し、「パズルが何であるかを決定する装置」という役に据え直した。見ることが観察ではなく物理的な帰結を持つ行為になる——そうしたゲーム群の系譜の原点であり、プレイヤーがカメラで自ら遂行する規則は、ゲームが言葉で宣言するだけの規則よりも直接に体感される、というデザイン上の洞察の原点でもある。
02出典
03この原点を継ぐ発掘
窓の中の先にあるもの 埋もれた名作
発明は一点で、それはストア本文自身がはっきり書いている——横から見た視点と、上から見た視点。2つを切り替えると、奥行きや高さまで変わる。これが実際に何を意味するかというと、錯覚の話ではなく、物質の規則の話になる。ストア自身が挙げている例をそのまま引く。積み上げられた木箱は、横から見ると重く感じるため動かすことができない。しかし上から見ると、木箱1個分の重さしか感じないので動かせる。上から見るとブロックと階段は離れて置かれているが、横から見ると離れているようには見えないので、ブロックの上に乗ることができる。横から見ると乗れない木箱も、上から見るとブロックとの高さの差を感じないので、その上に乗れる。投影で潰れた軸は、単に無い。そして潰れた分の枚数が、そのままそのオブジェクトの重さになり、接続になり、通れるかどうかになる。作者はこれを「脳がバグる」不思議な感覚と呼んでいて、その言葉自体がストア本文に書かれている。出自は unity1week——日本語圏の1週間ゲームジャムだ。ジャム版の公開は2021年2月28日、結果発表で総合3位、楽しさ部門では1位。そのうえで作者は「ステージの追加、ランキングの見やすさの向上、絵作り、演出の強化などを予定しております」と書いてSteam版の開発を始めている。制作は個人開発者・とぶ氏ひとり。本人のnoteには「『とぶ』という名前でゲーム作っていたり『うさおいみと』という名前で小説書いていたりします」「本職はゲームプランナーまたはディレクター」と書かれている。Steam上のdeveloperもpublisherもとぶ。Steamのdeveloper検索を直接叩くと、この名義の登録は本編と体験版のちょうど2件しかなく、記録のどこにも発売元が存在しない。発売日は2021年6月21日、価格¥200。24件のレビュー(好評24件・不評0件、Steam自身のレビューAPI実測)で好評率100%。無料ではない有料タイトルで、アーリーアクセスではなく正式リリース済み、ストアページにAI生成コンテンツの開示欄は無く、Steamのコンテンツディスクリプタは空である。英語インターフェースは実装済みで、ちゃんと動く。存在しないのは英題のほうだ——英語ストアページでもこのゲームの名前は「窓の中の先にあるもの」のままで、Steamが振った正準URLはアンダースコアで終わっている。slugを作れるラテン文字の名前が無かったからだ。24件のレビューのうち、英語はちょうど1件。