ドミニオン:その系譜と、子孫と、日本での評価
01この原点とは
ドミニオン(Dominion)は、ドナルド・X・ヴァッカリーノがデザインし、2008年にアメリカのリオグランデゲームズが発売した2〜4人用のカードゲームだ。日本では2009年にホビージャパンが完全日本語版を発売した。全員が同じ小さな山札から始め、場に用意されたカードを買って山札を強くしていき、買ったカードは後の手番で引いて使えるようになる。山札そのものを育てていくことが遊びの中身で、最後に勝利点の多いプレイヤーが勝つ。英語版Wikipediaはこれを最初のデッキ構築ゲームとし、その中心の仕組みを土台にしたジャンルを生んだと書く。日本語版Wikipediaも、その成功によって無数のフォロワーが生まれ、デッキ構築の仕組みを取り入れたボードゲームが次々と登場したと書いている。2009年にはドイツ年間ゲーム大賞・ドイツゲーム大賞・アラカルト・カードゲーム賞を受賞し、史上初のドイツゲーム3冠となった。2024年2月からは、Temple Gates Gamesによる公式ライセンスのデジタル版がSteamで配信されている。遊びながら自分の山札を育てることを核に据えた、デッキ構築ゲームの系譜の原点である。
02出典
03この原点を継ぐ発掘
Photogenic Minds : Identity 埋もれた名作
Steam自身の表記によれば、本作は「デッキ構築型3D探索サイコホラー」だ。無限にループする回廊を歩き、「被写体」と呼ばれるオブジェクトを撮影すると、特殊な力を持った写真ができる。その写真でデッキを構築し、回廊の終点にある「死者の魂」を見つけて回収すれば1ゲームが終わる。魂の居場所を突き止めるために、死者の特性と名前を推理する論理パズルの要素もある。状況はランダムに作られ、不可思議な「探偵道具」を集めていく。難しいと感じたら、強力な探偵道具を持ち込んで強引に解決することもできる、とストアは書く。回廊にはPM0:00からAM0:00までの「12の時刻」が流れ、写真の力で時間を支配して、夜を越えられない超常多発都市レデルリンの夜を越えることが求められる。ストアの物語紹介は、この街で探偵業を営むジェニファー・サイレントフォールから始まる。開発・発売は727 Not Hound。AUTOMATONは開発者を「国内の個人開発者である座間氏」とし、727NotHoundは同氏のデベロッパーとしての名義だと書く。電ファミニコゲーマーも「国内の個人ゲーム開発者」と紹介している。当サイトで紹介する727 Not Hound作品は、『悪夢のような日々でした』『国際指定怪異123号 廃村』に続いて、これが3本目だ。土台になったのは、日本のフリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」で今も無料公開されている試作品『P.M.(プレイアブル・モックアップ)』で、これは本作の無料版ではない。Steamには有料の前作『Playable Mockup』も別にある。2022年9月29日にVer0.9として発売され(Ver1.0への更新は同年10月15日)、98件のレビュー(好評87件)で好評率89%の「非常に好評」。価格¥1,900の有料タイトルで、アーリーアクセスではない。言語別では、98件のうち92件が日本語のレビュー(好評81件。日本語だけでも「非常に好評」)で、残りは簡体字中国語4件・繁体字中国語1件・韓国語1件、英語は0件。不評11件はすべて日本語のレビューだ。対応言語は日本語のみで、英語版のストアページの紹介文には、最初の一文のすぐ後に「*English will be supported.」という英語対応の予告が残っているが、実現していない。媒体には載っている。日本語ではAUTOMATONが4本(発表と配信日のニュース、コラムの1段落、セール紹介の1行)、電ファミニコゲーマーが2本、英語ではAUTOMATON WESTが発表記事の英語版を載せた。本作だけを扱ったレビューや特集は見つかっておらず、英語のレビューは0件で、英語圏のプレイヤーにはまだ届いていない。ここからは正直に開示する。Steamのお知らせは2023年4月が最後で、2023年2月のお知らせでは、存在はするがまだ取得できない実績があると告知されていた。開発者は2025年7月、Xで、プロジェクトファイルを保管していたSSDが破損して今の版を使ったアップデートができなくなったと告げ、「オーバーホールド」というサブタイトルでゼロから作り直すこと、新たな購入ではなく無料アップデートとして提供すること、従来の版はSteamのビルド切り替えで引き続き遊べるようにすること、リリース時期は同年末から翌年3月の間の予定であることを伝えた。2026年3月には、ゼロからの再構築を予定しており、開発資金のためにパブリッシャーと交渉中で、交渉がまとまらなくても着手している開発は進める、と書いたが、新しい時期は示していない。改修版はまだ出ていない。Steamの日本語の不評レビューには、本文が「未完成」の一言だけのもの(2026年6月)がある。動作については、AUTOMATONの2022年10月のコラムが「動作が重い点などを考慮すると気軽におすすめはし辛いです」と書いた。開発者はその後、使用メモリが大きすぎる問題の解消や、繰り返し遊ぶと動作が重くなる問題の改善を告知し、2023年4月には一部環境で非常に重い負荷になっていたメモリリーク対策の処理を削除した。今の動作は確認できていない。なお開発者は、試作品のふりーむ!のページで、カメラで除霊するゲームとの類似性は偶然だと書いている。